行進曲「エル・カピタン」
 1896年4月13日に、ボストンのトレモント劇場で初演されて大ヒットしたオペレッタ(喜歌劇)で、スーザのオペレッタの中では最も成功した作品である。内容は、17世紀初めにペルーの総督に任命されたコミカルで臆病なドン・エリッコ・メディグアを主役とした3幕ものの喜劇。大部分の主題は第1幕からとられ、このマーチの最後の2/4拍子のテーマは、オペレッタの最後の部分からとられている。
 スーザはこのマーチを大変気に入っていたという……。
 スーザは全額自己負担でスーザ・バンドに補強メンバーを加えて100名を越えるバンドを仕立て、1899年9月30日にニューヨークで行われたデューイ総督(1898年に米西戦争でスペイン艦隊を破った)の凱旋パレードの先頭に立ってこのマーチを演奏した。米西戦争の最中にデューイ総督が率いる艦隊「オリンピア」が、マーズ湾を出航してマニラ攻撃に向かう時に、同艦上で演奏されたのがこの曲だったから、スーザにとっては特別な思い入れがあったのだろう……