行進曲「秋空に」
 昭和51(1976)年の日本吹奏楽指導者協会の吹奏楽曲募集に応募して1位に入選した作品。モダンなリズムと軽やかなメロディをもつさわやかなマーチです。作曲者の特徴である、同じ音で四分音符を刻むトリオが、この曲でも健在です。
 この曲に対して、作曲者は次のように語っています。
「私の生まれ育った高知市では、9月のある日に、突然といっていいほど急に空が青く透き通ってくるのです。もちろん南国のことですから、夏の暑さの残りはなかなか厳しくぶり返したりもするのですが、そんな中に、夏の白っぽい晴天とは別の、どこまでも深い青い空がやって来るのです。これが、もっとも美しい『秋』の最初の訪れなのです。暑さから解き放たれての活動再開への期待感、そしてもう一方で思考や思索の深まり、さらには秋の味覚への感謝といったことまで含めて、この空をながめていると、くらくらするほど気持ちが秋色に染まっていきます。郷土を離れてょうど10年目に、この色を思い描いて、この曲がわいてきて、書き留めました。」
 作曲者の上岡洋一さんは、1949(昭和24)年生まれ。東京芸術大学で作曲を学ばれた後、現在はくらしき作陽音楽大学助教授をつとめておられます。主な作品に、行進曲「砂丘の曙」
(1978年吹奏楽コンクール課題曲)、「はるか、大地へ」(1996年同課題曲)、行進曲「北海岸線」などがあります。
 なお、この「秋空に」は、平成15年度および16年度中部日本吹奏楽コンクールの課題曲になっています。